イラストなどを描く際に美術解剖学を勉強しようと考えている方は多いと思います。
解剖学で骨格に関して勉強する際に特に要になる部分が「頭蓋骨(とうがいこつ、ずがいこつ)」です。
今回は側面から見た頭蓋骨の部分的なパーツの名称と構造について解説します。
一見シンプルに見える頭蓋骨も細かいパーツの集まりで出来ていて、それを知っておくことでより説得力のある絵作りに一役買ってくれると思います。
こんな方におすすめ
- イラスト制作のために解剖学の知識を身に着けたい方
- 骨格に関して興味がある方
- 頭蓋骨の構造を知りたい方
頭蓋骨の主な構成
頭蓋骨の主な構造は上記のようになっています。
頭蓋骨は主に「脳頭蓋と顔面頭蓋」と「下顎骨」のように上部と下部に分かれています。
頭蓋骨の主となる部分である脳頭蓋は
- 後頭骨(こうとうこつ)
- 側頭骨(そくとうこつ)
- 頭頂骨(とうちょうこつ)
- 前頭骨(ぜんとうこつ)
に分かれていて、縫合で結びついています。
脳頭蓋が脳を収めている大きな部分で、顔面頭蓋がざっくりいえば頭部の全面の顔の部分の骨ですね。
このように頭蓋骨は脳を守るためにある骨と、顔面を構成するための骨に分けて考えられています。
耳眼平面とは?
頭蓋骨前面にある眼球の収まる穴のことを眼窩(がんか)といいます。
側面から見た時にこの眼窩と耳の穴を結んだ線を「耳眼平面(じがんへいめん)」と呼びます。
この線を基準に脳頭蓋と顔面頭蓋に分けて考えられます。
顔面頭蓋から更に上顎骨と下顎骨といったように分かれています。
顔面頭蓋の構成
顔面頭蓋の骨を簡単に分解すると以下のようになります。
- 鼻骨(びこつ)
- 鼻軟骨(びなんこつ)
- 上顎骨(じょうがくこつ)
- 下顎骨(かがくこつ)
またさらに細かく分解すると以下の骨に分かれています。
- 鋤骨(じょこつ)
- 下鼻甲介(かびこうかい)
- 鼻骨(びこつ)
- 上顎骨(じょうがくこつ)
- 涙骨(るいこつ)
- 頬骨(きょうこつ)
- 口蓋骨(こうがいこつ)
下顎骨は部分別に以下のようば名称があります。
- 関節突起(かんせつとっき)
- 下顎枝(かがくし)
- 下顎角(かがくかく)
- 下顎体(かがくたい)
- オトガイ隆起(りゅうき)
それぞれの名称を細かく覚えておく必要はありませんが、代表的なパーツの名称に関しては覚えておくのがオススメです。
- 上顎骨
- 下顎骨
- 鼻骨
- 頰骨
- 下顎角
上記に関しては覚えておくと良いです。
カンペル平面とは?
鼻の下の部分である「鼻下点(びかてん)」と「耳珠点(じじゅてん=耳の穴の部分)」を結んだ線のことを「カンペル平面」と呼びます。
このカンペル平面は歯のかみ合わせと平行だといわれていて、歯学の分野に置いては重要視されています。
人間の横顔を描く時はこのカンペル平面を意識するのがオススメです。
よく耳が変な位置についてしまっている絵とかありますが、カンペル平面を知っているだけでそのようなミスはなくなるかと思います。
鼻下点と耳珠点を結んだ線をあたりとして引いてから横顔を描くとバランスが良く見えます。
まとめ
今回は「頭蓋骨の側面」の骨について簡単に紹介しました。
シンプルなようでいて複雑な骨格が複数組み合わさっている頭蓋骨ですが、塊ごとに覚えていくことでそこまで難しいものでもありません。
頭蓋骨は重要なパーツなので、代表的なパーツの名称を覚えてから筋肉についても学習していくのが覚えやすいです。
▼以下に要点をまとめました。
記事のまとめ
- 頭蓋骨は細かいパーツが縫合で繋がっている
- 頭蓋骨は脳頭蓋と顔面頭蓋に分かれている
- 顔面頭蓋は上顎骨部分と下顎骨部分(下アゴ)に分かれている
- 眼窩と耳の穴を結んだ線のことを「耳眼平面」という
- 鼻の下と耳の穴を結んだ線のことを「カンペル平面」という
▼頭蓋骨を前面から見た状態で解説した記事
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