MAYAでモデリング時に円弧のようなカーブをつけたい場合がしばしばあるかと思います。
例えばパイプなどが曲がったようなモデルを作成したい場合に、部分的に円弧に曲げたパーツを作成してつなげていくようなパターンもあるかと思います。
モデルを円に沿って角度を付けたように作る時に便利な機能のひとつが「ウェッジ-Wedge-」です。
あまり目立たない機能ですが使い方によっては非常に綺麗なトポロジーで円弧を作成することができます。
今回はMAYAを始めた初心者の方へ向けて「ウェッジ-Wedge-」の基本的な使いを解説します。
ブリッジやカーブで曲がったパーツを作成してみたけど、中々綺麗に曲げることができなくて悩んでいる方はこの機能を使うことでより綺麗なモデリングができるかと思います。
【MAYA】綺麗な円弧が作成できる「ウェッジ-Wedge-」の基本的な使い方
今回はウェッジ機能を使って画像のような円弧パーツを作ってみたいと思います。
部分的に曲がった円弧のパーツを作りたい時には様々な方法がありますが、中々綺麗に作成するのがむずかしいパーツかと思います。
特にフェイス同士をブリッジなどで作成しても円弧部分の角度が綺麗にできなかったりする場合がありますよね。
そういうときにはウェッジで曲がった部分を作成すると綺麗にできます。
基本の使い方
まずは適当にキューブを作成します。
ウェッジとは選択したエッジを軸にしてフェイスを曲げて押し出すような機能です。
このキューブの作面のフェイスを右下のエッジを軸にして円弧を作ります。
マルチコンポーネントモードで選択する
ウェッジはフェイスの他に軸となるエッジを選択する必要があります。
コンポーネントを複数選択する場合には「Multi」モードにしておきます。
側面のフェイスを選択したあとに底部にあるエッジを追加選択します。
ウェッジを実行
Edit Mesh▶︎Wedgeを実行します。
Shift+右クリックでマーキングメニューを表示して「Wedge Face」でもウェッジが可能です。
するとこんな感じで2つ目に選択したエッジを軸にして円弧状にフェイスを押し出してくれます。
これがウェッジの機能です。
「Wedge Angle」で押し出す角度、「Divisions」で分割数を調整することができます。
マルチコンポーネントでフェイスとエッジを選択▶︎Wedgeで円弧が作成されます。
フェイスのみだとエラーになる
ウェッジを実行するにはフェイスとエッジを選択する必要があるので、どちらから片方のみの選択だとエラーが出て実行できません。
画像はフェイスのみを選択した状態です。
フェイスのみを選択した状態でWedgeをかけるとこんな感じでエラーになります。
うまくいかない場合はエッジがフェイスの選択忘れになっている可能性があるので、マルチコンポーネント選択で選択し直しましょう。
押し出したエッジに対してウェッジを実行
画像のように押し出した部分のエッジを選択することで、ウェッジをかける時の円弧の軸を変更できます。
押し出したエッジを軸にしたウェッジした状態です。
同じ面に接していたフェイスとエッジでウェッジした場合よりも違う結果になっています。
ちなみにこのように逆にウェッジされてしまう場合があります。
その場合は「Wedge Angela」の値に−を追加してEnterを押すと綺麗にウェッジされると思います。
ガイド用のオブジェクトを使ってウェッジ
ウェッジをかける時に円弧部分の角度を測るために別のモデルを使う方法があります。
この定規の様に使うオブジェクトの事をJigと呼ぶこともあるようです。
ここではガイドオブジェクトと呼ぶことにします。画像ではキューブをウェッジする円弧の部分の角度をシリンダーを使って測っていきます。
ガイド用モデルのピボットを設定
ガイドオブジェクトエッジの端っこにピボットをスナップ移動させます。
端っこにピボットを移動させたガイドオブジェクトをスナップでキューブのバーテックスに合わせます。
ガイドオブジェクトに合わせてウェッジ
次はガイドオブジェクトのシリンダーの中心部までキューブのフェイスを押し出します。
Vキースナップで綺麗に合わせておきます。
これでガイドオブジェクトの外周に沿った円弧を作成できるようになります。
キューブの下側のフェイスを選択して、ガイドオブジェクトの中心に接したエッジを追加選択します。
ウェッジを実行します。
ガイドのシリンダーの円に沿った状態で円弧が作成されているのがわかるかと思います。
分割数をガイドオブジェクトに合わせることでフェイスの角度も綺麗に合わせることが出来ます。
軸用のエッジをガイドオブジェクトであるシリンダーの半径に合わせているので、「Wedge Angle」で調整しても綺麗に円に沿ってくれます。
ガイドオブジェクトの円周に沿ってウェッジした状態。
ガイドオブジェクトでウェッジを追加していく
同じ様にガイドオブジェクトを使ってウェッジしていきます。
上記では更に右に曲げていきたいと思います。
ポイント
円弧を作成していく時に重要なのが、軸になるエッジとして使うためのフェイスを押し出して合わせてウェッジをかけていくこと。またガイドオブジェクトにしっかりスナップして軸を作成することです。
追加でウェッジを作成していきます。
ガイドオブジェクトにスナップして軸を作成しているので、シリンダーに沿って円弧を作成できます。
実際に使ったガイドオブジェクトと作成した円弧の状態。
ダクトみたいな感じのモデルを作成する際にはこの手順が使えると思います。
軸用に押し出したフェイス部分を削除して穴を埋めた状態です。
それぞれカーブが綺麗に作成出来ているかと思います。
チューブ状のモデルをウェッジ
シリンダーを使ってチューブ状のモデルをウェッジすることもできます。
画像ではキューブの時と同じ用にウェッジさせるモデルとガイドモデルを用意しました。
シリンダー(ウェッジ用)は軸になる部分のエッジを作成するために部分的にフェイスを押し出して、ガイド用モデルの中心にスナップしてあります。
この状態でウェッジを実行するとこんな感じでガイドオブジェクトに沿ったチューブ状の円弧が作成できます。
それぞれガイドオブジェクトを設置してウェッジしました。
ガイドオブジェクトを使えばこのようにチューブの湾曲したモデルを作成することもできるので、パイプや水道管などを作りたい場合に便利です。
今回は「ウェッジ−Wedge−」の基本的な使用方法について紹介しました。
オブジェクトの曲がった部分は中々綺麗に作成できない場合が多いですが、このウェッジを使う方法の場合は比較的綺麗に作成することができます。
多少なれるまでは難しい機能かと思いますが、より綺麗なモデルを作成する際には便利なので湾曲部分を綺麗に作りたい方はぜひ使ってみてください。
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