皆さんはイラスト製作時に反射を描くことってありますか?
イラストの仕上げの時などによく使われる「反射」ですが、カンタンなようで意外とよくわかっていなかったりしませんか?
一番反射率が高いのは鏡などの鏡面になったものだと思うんですが、風景画などでは水面に光が反射することもあると思いますし、
人工物(部屋や建物など)には窓や、建物全体に反射が映っていることも多いですよね。
少し画面に取り入れるだけでリアリティーが増して、時には幻想的な雰囲気を醸し出してくれる「反射」ですが、
一応理論的に描く方法が色々あります。
今回はパースの応用として、透視図に沿った反射の仕組みや描き方について解説してみたいと思います。
自然物などでは適当に反射を描いてもそれっぽく見えますが、人工物では少し考えて描かないと不自然になってしまうこともあるんですよね。
この記事で解説する方法を頭の片隅に置きつつ制作していくと自然なパースに沿った反射面が描けるようになるはずなので、ぜひ参考にしてみてください。
パースを使った鏡面反射の仕組みをカンタンに解説
「反射」といっても色々ありますが、ここではシンプルに鏡に対して鏡面反射した姿と考えていきます。
つまり鏡面反射ですね。
鏡に映った反射物を描くのはパースの知識があればそこまで難しくはないです。
ただし、鏡が平行に映っている場合はですが。
例えばオブジェクトに対して鏡が近くにあるとして、それが垂直または水平(つまり平行であるということ)になっているのであれば、パースガイドにそってそのまま増やすか、反転させて増やせばOKなんです。
でも、反射面(鏡)に角度がついていたら一気に複雑になってきます。
オブジェクトと反射面それぞれの角度も計算に入れて考えないといけないからですね。
角度のある反射は正直めっちゃめんどくさいので、この記事では比較的カンタンな「平行の反射」のみに絞って解説してみたいと思います。
パースの基本的な知識があれば意外とすんなり使いこなせるようになると思います。
平行反射の仕組み
鏡面に対して平行な反射はルールさえ覚えてしまえばカンタンです。
まずはこんな感じの適当なオブジェクトを2点透視図法に沿って描いてみます。
この様なオブジェクトを使った場合、反射したオブジェクトを2点透視図のパースラインに沿って描けば良いということになります。
平行反射①オブジェクトが反射面についているパターン
まずは一番カンタンなパターンです。
オブジェクトの下に平行に反射面があって、オブジェクトがくっついているパターンの反射の仕方です。
反射面と接している部分を境目にして、オブジェクトを倍にして反射像(反射面に映っているオブジェクト)を描きます。
元のオブジェクトと同じパースライン(同じ消失点)に沿って描けばOKです。
平行反射②オブジェクトが反射面についていないパターン
同じようなオブジェクトですが、反射面に接していないパターンです。
鏡面から浮いている様なイメージですね。
この場合は反射面をつなぐ線と、反射する位置を決めないといけません。
反射の位置とは反射する面がある位置ですね。
あとはパースラインに沿って描くだけです。
平行反射③オブジェクトの一部が反射しているパターン
反射面にオブジェクトの一部が反射しているパターンですね。
つまり下に置いてある鏡面の位置が下がっているか、オブジェクトの位置が高い時です。
この場合も元のオブジェクトの線を延長させて、パースラインに沿って描けばOKです。
カンタンですね。
平行反射④オブジェクトが傾いている場合パターン
反射面に対してオブジェクトが傾いていて、角度のついた反射になるパターンですね。
これは片方の軸(消失点に向かう部分の辺)が平行で、反射面に接している軸に傾きがあります。
反射面に映る面のオブジェクトの面の部分と角度がついた反射をします。
オブジェクトと反射面が画面に対して平行の場合
オブジェクトと反射面が画面(PP)に対して平行な場合についても軽く紹介しておきます。
基本的な仕組みは上記と同じで、反射したオブジェクトを同じパースラインに沿って描くだけですね。
見えていいない部分を想像して描く必要もありますが、シンプルなオブジェクトでパースラインがわかっているので特に困ることはないと思います。
画面に対して平行の反射①オブジェクトが反射面についているパターン
一番カンタンなオブジェクトが反射面に接しているパターンです。
反射面が消失点(VP)に対して90°になっているのが前提で、
オブジェクトと反射面の境目から倍にしつつ、パースラインに合わせて描きます。
普通にオブジェクトを倍にしているのと変わらない感じですね。
画面に対して平行の反射②オブジェクトが反射面についていないパターン
今度はオブジェクトと反射面が若干離れているパターンです。
これも基本的には反射の境目を決めて、オブジェクトの延長線上の線を引き、
奥行きをパースラインに沿って描けばOKです。
画面に対して平行の反射③オブジェクトの一部が反射しているパターン
反射面が画面に対して90°で、かつオブジェクトが反射面から離れていて一部のみ反射しているというパターンですね。
これもあまり変わず、パースラインにって描けば良いです。
画面に対して平行の反射④オブジェクトが傾いているパターン
反射面に対してオブジェクトに角度がついているパターンですね。
これは奥行きの先はパースラインに沿って描けば良いんですが、角度がついている部分の頂点を結ぶようにして描きます。
オブジェクトと反射面が平行でも画面に対して角度がついているパターン
最後にちょっと応用です。
反射面とオブジェクト自体は平行に接していても、こちらが見ている画面(PP)に対して平行でも垂直でもなく、角度がついてしまっているパターンですね。
やり方がいくつかあるんですが、今回はカンタンな方法で説明します。
1、オブジェクトの対角線から消失点を割り出す
まずはこんな感じで適当にフラットなオブジェクトを作り、オブジェクトの対角線と水平線(HL)を結んで消失点を見つけます。
2、反射面までの空間の消失点を割り出す
次にオブジェクトから反射面までを結んだパースラインの中に出来る対角線から、HLまで線を引いて消失点を割り出します。
3、それぞれの消失点を反射面に反映させる
最後に対角線を使って割り出した消失点を使って、反射面の中にオブジェクトを反映させます。
オブジェクトの辺の延長に、対角線から割り出したそれぞれの消失点から引いたパースラインが重なるところがオブジェクトの反射像になります。
ちょっとややこしいですが、とりあえずこんな感じで描くのがカンタンです。
(まあ実際に描くことはめったにないですが……。)
まとめ
今回はパースに沿った「鏡面反射の基本的な描き方」について解説してみました。
パースラインを考えつつ厳密に反射をさせるのはなかなかめんどくさいですが、
使いこなせるようになると画作りに説得力が出ます。
あんまり何も考えずに適当にコピペで反射させちゃうこともありますが、人工物などではこの記事で紹介したような手法を使った方が自然に見えます。
反射っていろんな影響があって難しいですし、プロでもしっかりと使いこなしている人はあまり見ない感じがします。
(いちいちここまで計算して描いていると時間が足りないからだと思います)
てとはいえ方法を知っているだけでパースにはあっていなくても、
最低限不自然に見えないラインがわかるので便利です。
ある程度パースに慣れたらこのくらいは応用できるはずなので、ぜひ実践してみてください。